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2)安渓は南福建を代表する銘茶の産地
福建省北部武夷山で生まれた烏龍茶製法が南部の安渓県に伝わり、その製法にさらに工夫を加えた安渓鉄観音が生まれたのは清の時代の中期1723年から1735年の間頃とされています。
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安渓の茶摘み
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安渓の茶園(独特の赤土も品質にとって重要です)
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鉄観音の品種としての由来に関しては、二つの説話があります。ひとつは安渓に 魏 飲 と言う名の信心深い茶農がいて、毎朝一杯のお茶を敬虔に観音大師像の前に奉じていた。ある日に山に芝刈りに行くと、岩石の間に一本の茶ノ木を見つけた。茶ノ木はお日様に照らされて奇異なほど燦燦と輝いていました。持ち帰って一生懸命そだて、茶を摘みお茶を作ると、鉄のように重く、特にその香気が極めて素晴しいことから、観音様からの授かりものと考えて、鉄観音と名づけたとする説です。
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観音様
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もうひとつの説話は、清乾隆元年(1736年)安渓の 王 士諒 という名の書生が他の書生とともに南山麓へ赴いた折、荒れた石の中から生える他の樹木と異なり光っている茶の木を見つけ、持ち帰って大事に育てて茶を作ると、その茶葉の素晴しい芳香は人々を大いに驚かせました。乾隆六年、王書生は北京へと赴き時の宰相 方 望渓 に携えていった茶を贈りました。すると時の皇帝 乾 隆 に接見を許され、そのお茶の事について尋ねられると書生は、安渓県南山の観音岩の下で見つけたことを話しました。話をきいた皇帝より南山鉄観音という名を賜ったと言う話です。双方とも安渓鉄観音の優れた品質を伝説の形を以って説明しています。
また烏龍茶の製茶法から考えると、安渓では茶葉を揉む時に布に包み、良く揉んで茶葉のヨリを強くする独特の“包巾揉(ホウキンジュウ)”という独特の工夫を加えました。そのため安渓鉄観音は、茶葉は凝縮されて重みが増し“重きこと鉄の如し”と称される形状と、“貴きこと観音の如し”と称えられる独特の蘭の花にたとえられる鮮烈な芳香、及び“音韻”と称えられる飲後のどごしにのこるあまみのある香気をその特質として具えるに到ります。此処に武夷岩茶を含む福建省北部産とは外観的にも異なる安渓独自の烏龍茶製茶法が確立しましたとされています。よって安渓は清の時代中期には福建省北部の武夷山と並び福建南部を代表する烏龍茶の二大主産地としての地位を築きあげました。現代安渓に於いてもその茶作りはたいへん盛んで、鉄観音の他にも近来評判の高い黄金桂、本山、毛蟹等々多くの優良品種品種を育て、烏龍茶の主産地として知られています。また安渓の製茶方法は福建省南部を経て海峡を越えて台湾にまで伝わり今日評判の高い台湾での烏龍茶製茶法の基礎となったとされています。
5 烏龍茶の品種
福建省北部の品種 | 水仙、奇種、肉桂、水金亀、鉄羅漢、白鶏冠、大紅袍、烏龍、白毛猴、等
| 福建省南部の品種 | 鉄観音、黄金桂、色種、本山、毛蟹、奇蘭、梅占、佛手、等
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広東省の品種 | 鳳凰単叢、鳳凰水仙、等
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台湾の品種 | 東頂烏龍茶、包種茶、東方美人、等
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